Watch Story: MING 37.07 Mosaic

Watch Story: MING 37.07 Mosaic

今回は2022年にオーダーし、2023年に納品された時計のお話です。

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MINGとは

2017年に創業した所謂”独立系ブランド”のひとつで、マレーシア出身のミン・ティエン(Ming Thein)氏の独自のデザイン言語で作り上げる時計は一部の時計ファンから強い支持を得ており、年々入手が困難になっているブランドのひとつです。

“Special Projects Cave”のひとつであるモノプッシャークロノグラフ
MINGより

公式ホームページの写真(時計ブランドにありがちな”レンダリング画像”ではないです)が素晴らしいので、詳細はそちらをご確認いただくとして、夜光塗料を効果的に用いた映画「トロン」を思わせるような近未来的なデザインは非常に魅力的で、いつか欲しい時計ブランドのひとつでした。

ただし、基本的に生産は一度きり かつ 限られた本数分の受注で締め切ってしまう という受注スタイルと、ブティック(実店舗)を構えずD2C(Direct to Consumer)、即ち顧客に直接ECで販売する形態を取っているために入手のハードルが高いのも課題でした。

ブランド創業5周年記念モデルが出るらしい

そんなわけで中々手が出しにくいなぁと思っていたある日、InstagramでMINGが創業5周年モデルを発表したのです。

  • ブランド創業5周年モデル
  • コンセプトは”mosaic for all”
    • 2020年に”Special Projects Cave”として発表した20.01 Mosaicは価格面からも生産本数からも限られた人のためのモデルだったため、それを受けてのコンセプト
  • これまでのモデルと異なる受注生産方式
    • 定められた15分間に申し込み、デポジットが支払われたオーダー分については全て生産する

と大幅に入手のハードルが下がったことに加え、コンプリケーション(複雑機構)がないシンプルな2針かつ、ムーブメントもセリタ製の比較的枯れた設計であることから、初期不良を引いた場合や将来的な修理の際も(費用だけではなく時間や手間も考慮した)コストが低いであろう と自分を納得させ、一度も実機を見たことがない時計の前金を支払ってしまったのでした……(もう重症ですね)

MINGを購入するときは公式のめちゃくちゃ上手い写真を信じてポチるしかないのです
MINGより

MINGが日本にやってきた

納品待ちの間、MINGの実機はオーナーに会わない限り見ることもない、と思っていたのですがMing Thein氏はじめブランドのメンバーが来日するとのことでイベントに参加させてもらうことに。

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Special Projects Caveのモデルの実機を手に取れたのはもちろん、オーダーしていた37.07も実機を確認できたのはうれしい誤算。

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ブランドのコンセプトや各モデルの開発裏話、技術的な内容についても伺うことができ、Ming Thein氏にも「注文して納品を楽しみにしているよ」と伝えることもできてとても良い機会になりました。

納品

Ming Thein氏からも「もうすぐデリバリーするよ」とあった通り、注文から約1年、イベントの直後に僕のMING 37.07が到着。

パッケージは大きなビニール製の袋の中に、(プールで使うフロートベッドのように)空気が充填された筒が複数連なった緩衝材で覆われた箱が入っており、仰々しいわけではないものの十二分な保護がされている印象でした(興奮のあまり写真撮ってないのですが……)。

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とりあえず届いて1枚

38mmのケースサイズは細腕でもギリギリ収まるサイズ感で、手巻ムーブメントのお陰で厚みも抑えられているので装着感は良好。狙い通りで安心しました。

ファースト・インプレッション

肝となる文字盤はサファイアガラスを用いた多層構造になっており、プリントなのに立体感がある、という独特の表現になっています。

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また、こう見えて100m防水というハイスペックなので、夏場でもあまり心配せずに使えそうなのも良いところ(ネジ込み竜頭ではないので過信は禁物ですが……)。

モザイク柄のため”普通のブラックダイヤル”とは異なる視覚効果があり、ちょっとミラーっぽい仕上げもあってか個人的にはグレーに近い印象。夜光を多用したデザイン言語は手持ちのどの時計とも違う独特の存在感があります。

ケース径は前述の通り38mmですが、ラグが短め(ラグ・トゥ・ラグで44.5mm)なのと、手巻故に厚さが11mm未満と薄めであり、かつケースバックもほんの少し凸形にカーブしている(つまり真横から見ると文字盤側もケースバックも少し膨らんでいる)ことから腕に沈み込むような装着感です。

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ストラップはアップチャージを支払って白いラバーストラップとボルドー色のカーフストラップの2種を付属してもらいました。

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ラバーストラップは表地に白、裏地に黒のラバーを2枚張り合わせて作ってあり、イメージとしてはラバー素材で普通の時計ストラップを作った、という感じ。白いストラップはデザイン言語ともよくマッチしていてクリーンで近未来的な印象があるものの、ラバーを2枚張り合わせるという製法故か、しなやかさがあまりなくゴワゴワする装着感で正直こちらはあまり使っていません。

一方のボルドーのカーフストラップは裏地にアルカンターラを使っており、しっとりしつつもベタつかない絶妙な肌触りとしなやかさでお気に入りになりました。

カーブラグを採用しているので市販のストラップの選択肢が少ないのがやや難点ですが、既製品であればDelugs、オーダーであればジャン・ルソーで対応してもらえそうなので近々何かストラップを増やしてみたいと思います。


というわけで今回はMINGのお話でした。
今後もう少し使い込んで色々と深ぼった話もしていきたいですね。