Watch Story: はじめてのグランドセイコー

Watch Story: はじめてのグランドセイコー

2023/08/16

先日のG-SHOCKの話に続いて、今回も時計の話題。
初めて本格的な腕時計(この場合は”クォーツではない時計”の意に近いですかね)としてグランドセイコー “雪白” SBGA211を買ってしまった話にお付き合いください。

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2020年、予想外の事態に

遡ってみるとGMW-B5000を購入したのは2018年。その後はコーヒーや自転車、カメラといった以前からハマっていた趣味に注力し、あまり時計には興味関心を向けていなかったのですが、誰もが予想外であった”あの流行病”によりライフスタイルの転換を迎えました。

原則在宅勤務となり、元々友人が多い方ではなかった上に人と会う機会がますます減り、平日はひたすら家に引きこもり週末はサイクリングをする生活。それはそれである種健康的で良かった(流行病以降痩せた方の部類です)のですが、おかいものが特技(?)な僕にとっては少し物足りない思いがするのも事実でした。

もちろん何も買っていないわけではなく、ドリームバイクに取りかかっていたので日々オンラインで国内外からパーツを買い漁ったりはしていたのですが、今すぐ何かに使えるものではない。そういえばキリの良い年齢を迎える気もすることだし、そろそろ良い時計を記念に買うというのはどうだろう?そんな考えに至り、インターネットの海に飛び込むことになったのです。

HODINKEEとの出会い、そして雪白への憧れ

ところで皆さん、HODINKEEというWebサイトをご存知でしょうか。
時計好きな個人ブログから始まった時計専門のイケてるWebメディアなのですが、僕はたまたまLeicaとのコラボレーションをきっかけに名前だけは認知をしていました。

(話は変わってしまいますが、8/14現在M10-P”Ghost Edition”が在庫復活しているんですよね。欲しい……)

ある日、SNSを眺めていると「In-Depth: ロレックス ミルガウスとオメガ シーマスター アクアテラ 1万5000ガウスと4000ガウスのネオジム磁石による耐磁性能実験」という記事を見つけてしまいました。
一応、当時も機械式時計が磁気に弱い程度の基礎知識は持っていたので、思わずなんだこれ?とリンクをクリックして読んでみることに。専門的な知識に基づきながらも読者を引き込む文章で、かなりの長文ではあるもののスルッと読めてしまい、その後はお決まりの知識欲が止められずHODINKEE Japanの全記事を片っ端から読み耽る日々が始まったのです。

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そして個人的なお気に入りの記事のひとつ「A Week On The Wrist: グランドセイコー スプリングドライブ 雪白 SBGA211を1週間レビュー」に辿り着いてしまいました。

詳細はJack Forster氏の素晴らしい記事を読んでいただくとして、グランドセイコーが誇るスプリングドライブとは何か、スノーフレーク(雪白)と呼ばれる文字盤とはどのようなものか、グランドセイコーの世界水準の仕上げとは何か、記事を通じて深く感銘を受けました。
何度も何度も読み込み、美しい写真の数々を見るうちに「実物を見てみたい」という思いを募らせ、”キリの良い年齢の誕生日”が過ぎたある日、とうとうブティックへ足を運ぶ事になったのです。

スプリングドライブか機械式か、自動巻か手巻か、それが問題だ

ここまでの書きっぷりだと最初から雪白一択だったかのようですが、直前まで迷っていたのがSBGK007でした。
兄弟機にあたる限定版、SBGK005と同じデザイン言語で薄型手巻のSBGK007。こちらもHODINKEEで取り上げられており、そのシンプルで計算されつつもスモールセコンドとパワーリザーブの配置によって少し崩されたような、独特の美しさに心惹かれていました。

ブティックでSBGA211とSBGK007で迷っている旨を伝え両方を出してもらいあれやこれやと悩んでいると、スタッフの方から「最初の1本なら自動巻でブレスレットのSBGA211の方が良いかと」とのアドバイス。

今にして思えばコンパクトで装着感の良いSBGK007の方が良かったのではと考えることもあるのですが、1本目でいきなり手巻というのはトラブルの可能性も否めませんし、年中着用することを考えるとブレスレットの方が理に適っている。なるほどそれは納得できるし、スプリングドライブの美しい運針かつこの文字盤が欲しければ他に選択肢はないな、ということで数十分悩んだ末にSBGA211に決定したのでした。

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グランドセイコーから世界が広がった

白文字盤(正確には型押しされたシルバー)とブレスレットの組み合わせは服装を選ばず、直径41mm・厚さ12.5mmと決して小ぶりではない時計ではあるものの、ステンレスよりも軽量なチタン製のケース・ブレスレットのお陰で約14.5cmの僕の細腕にも収まり、どのような場面でも「ちゃんとした時計を着けているぞ」という自信を持って着用できました。

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その後はHODINKEEをはじめとしたWebサイトやSNSをひたすら読み込み、時計製造の歴史や各ブランドのヒストリーを通じて、自分の手に入れたSBGA211についての理解を深めるとともに、時計全般に対する知識をひたすら吸収する日々。そんなある日、HODINKEE Japan初のミートアップイベントが開催されるということで、コレクションも何もない身ではあるもののダメ元で応募してみたところ、なんと当選してしまったのです。

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イベント当日の様子はHODINKEEの美しいPhoto Reportをご覧いただくとして、一生かかっても手に入れることができないであろう時計の数々を見ることができ、まるで夢のような時間でした。

時計好きの集まり、と聞くと市場価値の話やマウンティングの多そうなイメージがあり、内心ビビりながら参加したのですが、初心者マーク付きの未熟な僕に対しても多くの時計愛好家・コレクターの皆さんに親切に話しかけていただき、僕の着けているグランドセイコーを褒めていただいたことが非常に印象深く、自分がこの新しいコミュニティで認められているように感じられたのです。

そこからは階段を転げ落ちるようにどっぷりハマっていき、時計好きな方との交流も増え、気がつけば時計も増えていき……今に至るわけなのですが、全てはこのグランドセイコーから始まった。そう言っても過言ではないかな、と思っています。

色々な時計を試してみたり買ってみたり、経験値を積んで自分の好み・テイストが少しずつわかってきた今にしてみれば気になる点はあるものの、この世界に足を踏み入れるきっかけとなったSBGA211は多分一生手放せない、そんな予感がしています。


というわけで今回は熱量多め湿度高めのグランドセイコーのお話でした。
近々他の時計についてもちゃんと触れる機会を設けたいと思いますが、気長にお待ちくださいませ。