実は昨年ドリームバイクが出来上がったところから自転車以外への熱も高まっているのですが、気がついたら靴のビスポークオーダーをしてしまいました、というお話。
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ビスポークシューズとは
いきなりビスポーク、と言ってもなんのことやら、という方も多いかと思うのでまずは解説から。
過去のブログにわかりやすい例え(わかりやすいかはさておき)がありました。
紳士服に例えると、
https://whereisazure.net/2022/04/26/project-dreambike-1/
丈や身幅等、ある程度決まった組み合わせから選ぶしかない大手スーツ店の吊るしのスーツ
に対して、
生地やデザイン、細かな寸法まで自分に合わせて仕立てるビスポークテーラーのオーダーメイドスーツ
みたいな存在です。
自転車における「オーダーフレーム」「ハンドメイドフレーム」とかと似た立ち位置で、むしろ靴や紳士服の方が歴史が長いという意味で”本家”と呼べるかもしれません。
以前の説明よりももう少し深掘ってみると、以下のようなイメージがわかりやすいかと思います。
- RTW
- “Ready to Wear”、読んで字の如くすぐ着用できる=既製品、という意味
- MTM
- “Made to Measure”、採寸に基づいて制作する=所謂パターンオーダーみたいな位置づけ(メーカーやブランドによってこのあたりの語義は微妙に違うかもしれません)
- Bespoke
- フルオ―ダー、靴で言うとラスト(木型)を依頼主の足型から制作するところから、服で言うと型紙を作ってもらうところから、という感じ
RTWからビスポークにかけて徐々に”オーダーメイド度”が高くなっていくわけですが、自転車と同じく「自分だけの理想の一足」への憧れを募らせてとうとうビスポークに手を出してしまった、というわけです。
きっかけ
ビスポークオーダーのきっかけは「トランクショー来てみませんか?」というお誘いから。
これまでそんなお誘いをいただくことはなかったのですが、全ての始まりは昨年HODINKEE Japanさんのイベントで時計だけでなくファッションに情熱を注がれているオボイストさんとお知り合いになったこと。
詳細はオボイストさんのブログやInstagramをご覧いただくのが一番かと思いますが、素敵な職人さんたちとのコラボレーションに魅了され、浅草での靴のオーダー会にお邪魔し、名古屋へシャツと時計ストラップをオーダーしにお伺いしてしまうほどのハマりっぷり。
すっかりファッションの師匠としてオボイストさんに心酔(?)してしまったわけですが、3月に名古屋へお伺いした際に「5月にローマの靴職人さんのトランクショーを開催するのですがいかがですか?」とお誘いをいただいてしまいました。
先立つものはないし、他に欲しいものも迫る支払いもたくさんあってその場では一旦保留としていたのですが、いつかはやってみたいと思っていたビスポークの入り口がやってきて、しかもその道案内には頼れるオボイストさん、これはいいチャンスかもしれないとしばらく考えてみることに。
そうすると朧げに浮かんできたんです、ホールカットというアイデアが。
ホールカットが良いかもしれない
そもそも毎日革靴を履くようなライフスタイルでもなく、精々「こういう靴はこういうシーンに履くのがセオリー」みたいなものをなんとなくわかっている程度の知識量なので、ビスポークするにあたって自分の要件を明確にできるわけでもないのですが、自転車のオーダーを通じて「ある種オーダーしてしまうことが最短ルートである」ということも理解していました。
そんな乏しい知識であれこれと思いを巡らせていると「ホールカット」というジャンルの靴が思い浮かびました。
一枚革で踵以外に繋ぎ目がないデザインで、革そのものの品質と木型のシルエット、それと職人さんの技量が出るな、と。
また、ビスポークは個々人の足型に合わせて木型を作成するところから始まり、仮縫いというフィッティング用のサンプルを経て本番が作成されるため、それなりの時間(今回の場合は約2年)がかかってしまいます。
ホールカットは比較的フォーマルな靴とされており毎日履くような靴でもないので、今すぐに履きたいものというよりは「少し将来に自分の手持ちに加えたいもの」が良いなと考えたときにもしっくり来ました。

そんな考えをオボイストさんにお伝えしたところ「ホールカットがイメージにぴったり」との太鼓判もいただき、再び名古屋へ赴くことになるのでした。